Mercedes Story
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テクノロジーのあくなき追求――コンセプトカーが示すメルセデスの先端技術とその思想
「カービング」のサブネームにも示されるように、F400はカービングスキーの理論をコーナリングに応用しています。スキーは、スキー板を斜めにしてしならせることで曲線を作り、その曲線に沿ってエッジを走らせコーナリングします。一方F400は、スキー板の代わりに、カーブの外側の前後ホイールを倒し込むことでタイヤを走らせ、速く安定したコーナリングを可能にしました。アクティブ・キャンバー・コントロールと呼ぶ、この技術の基本には、これまでメルセデスが独自に培ってきたサスペンションの電子制御技術がありました。

サスペンションのアクティブな制御は、メルセデス・ベンツの数十年来続けている、セーフティ技術への試みのひとつ。コンピュータの発達とともに高度な制御が可能になった現在、電子制御技術は自動車メーカーの技術力を計る物差しにもなっています。

もちろんメルセデス・ベンツは、電子制御の分野にも積極的でした。研究の成果は、まず1991年のデトロイト・オートショーで発表された「F100」を経て、1996年のクーペコンセプト「F200イマジネーション」につながります。F200では、アクティブ・ボディ・コントロール(ABC)と呼ばれる、現行市販車に採用されている新技術を発表しました。ステアリングやアクセル、ブレーキなどをデジタル信号による命令で制御する、今話題のテクノロジー「ドライブ・バイ・ワイア」も、このときすでにF200で実用域にまで仕上げられていました。

さらに、翌年のフランクフルト・モーターショーでは、3輪スポーツ「F300ライフジェット」がコンセプトを受け継ぎ、F400でそれらの技術は実用を目指して統合されました。新型SLで量産化されたブレーキ・バイ・ワイアのセンソトロニック・ブレーキ・コントロール(SBC)もまた、F200からF400への発展の過程で実用化された技術です。ですから、F400で一歩先を示したアクティブ・キャンバー・コントロールや完全なドライブ・バイ・ワイアも、将来的には市販車に搭載されるかもしれません。

メルセデス・ベンツのコンセプトカーは、決してショーを彩るためだけに用意されるものではありません。すべてのコンセプトカーには、メルセデス独自の技術と思想が反映され、将来へのメッセージが込められています。

より遠くへ、より速く安全に――それは昔から変わらない自動車の理想の姿です。ダイムラーとベンツの開いた人類の夢は、誕生からゆうに一世紀を経過した今も、時代の先端技術を採り入れながら成長し続けているのです。

F100

1991年のデトロイト・オートショーで発表された“F100”
ミニバンのボディに多くの先進技術が詰め込まれていた。
F200イマジネーション

1996年にパリ・モーターショーで発表された“F200イマジネーション”

F200イマジネーション

ステアリングやペダル類はなく、サイド・スティックと呼ばれる操縦桿1本がすべてを引き受ける。
F300ライフジェット

“F300ライフジェット”はタンデム2シーターの3輪車。
1997年のフランクフルト・モーターショーで発表。アクティブ・チルト・コントロール技術により、車体と車輪を傾けモーターサイクルのようにコーナリングする。
F300ライフジェット

飛行機のコクピットを思わせるインテリア。ステアリングは電子制御で、操縦桿のような役割となる。


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