Mercedes Story
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“神話”ではないメルセデス・ベンツの安全思想
しかし戦後、モータリゼーションの急速な発展とともに、パッシブ・セーフティの重要さは再認識されるようになりました。220シリーズのデビューした1959年には、ジンデルフィンゲンの施設で初めての衝突実験とクラッシュ・ロールオーバーテストが行われ、メルセデス・ベンツ車の事故に対するあらゆる面からのリサーチが開始されます。
また、事故のリサーチは社内だけに止まってはいませんでした。
もっとも独創的かつ効果的な例は、1969年に開発部内に置かれた事故調査チームです。それは、ジンデルフィンゲン周辺で起こったメルセデス・ベンツ車の事故に対して、現場に調査チームを派遣して原因分析とデータ収集をする試みで、バーデンヴュルテンベルグ州政府と警察の全面協力を受けたものでした。
調査チームの集めたデータはとても効果的で、それまで見えていなかったセーフティに関わる事実が次第に明らかになっていきました。現在、世界のメーカーが標準的に行うようになった正面衝突時のオフセット・クラッシュテストの重要性もまた、こうした実地での調査結果をもとに、メルセデス・ベンツが70年代半ばに提案したものです。
メルセデス・ベンツのセーフティコンセプトは、決して最初に技術ありきではありません。ABSやSRSエアバッグなどは、バレニーが現役を退いてから登場した技術ですが、いずれもバレニーの現役時代に開発が始められ、10年以上をかけて熟成された技術です。メルセデス・ベンツの独創的な新技術のほとんどが、自動車に搭載されたときから高い完成度を備えているのには、そんな背景があります。セーフティの方向性を決めるのは、やはり開発者たる人間なのです。

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クラッシュ・ロールオーバーテスト

クラッシュ・ロールオーバーテスト
1959年には、ジンデルフィンゲンの施設で初めての衝突実験とクラッシュ・ロールオーバーテストが行われた。
事故調査チーム

事故調査チーム
1969年に開発部内に置かれた、現場に派遣して原因分析とデータ収集をするチーム。

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