Mercedes Story
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メルセデス、その優美な名の由来
名声がブランドを生み、ブランドがその名声をさらに大きく育くむ。自動車の世界に限らず、時代や流行を超えて人々を惹きつけるブランドの名前には、必ずそれにまつわる作り手の思いやエピソードがあるものです。

メルセデス・ベンツも例外ではありません。今ではメルセデス・ベンツといえば、多くの方は伝統的な自動車ブランドの名前としてご存知だと思います。しかし、考えてみれば、「メルセデス」というのは一般的にいって女性の名前でスペイン語で“神のご加護”を意味する言葉。モデル名に女性の名を使ったクルマはこれまでいくつも例がみられますが、ブランドネームに女性の名を使った、メルセデス・ベンツのようなケースは決して多くないのです。

では、メルセデスの名前はいったいどのようにして使われるようになったのでしょう?

命名の経緯を説明するには、ダイムラーの自動車会社の黎明期、その開発に深く関わった2人の人物、オーストリアの大富豪エミール・イエリネックと天才技術者ウィルヘルム・マイバッハについて触れなければなりません。

自動車の生まれた19世紀末から第1次世界大戦までの20世紀初頭は、ベルエポックといわれる平和な時代。生まれたばかりの自動車産業にとって、おもな顧客は新しもの好きの貴族や資産家たちでした。ダイムラーやベンツの会社も同様で、自動車は社交界やレースといった特別な環境で磨かれ、品質を高めていきました。ちなみに、最初の自動車レースとして記録されているのは、1894年にパリ-ルーアン間で行われたスピードトライアル。優勝車のプジョーにはダイムラー社製のエンジンが搭載されていました。ダイムラー社のエンジンの優秀さは、既にヨーロッパの自動車マニアの間に知れ渡っていたのです。

そんな自動車マニアたちの中に、イエリネックがいました。彼はすでに40代ではありましたが、始まったばかりの自動車レースに積極的に参戦し、クルマを乗り換えながらレースと自動車に魅了されていきました。そして、ダイムラー車を駆るドライバーとして、ロスチャイルド男爵らと並ぶ存在となっていました。やがて、既存のクルマに飽きたらなくなったイエリネックは、まったく新しい高性能レーシングカーの製作をダイムラー社に依頼します。そうして1900年から1901年の間に製作されたのがメルセデス・ブランドの記念すべき最初のモデル“メルセデス 35PS”でした。

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エミール・イエリネック

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ウィルヘルム・マイバッハ

ウィルヘルム・マイバッハ
ダイムラー社製のエンジンが搭載されたプジョー

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